私が今さら言うまでもなく、組織は人で構成される。したがって、活力ある組織であるためには、その組織を構成する人たちに活力がなければならない。
組織に所属する人たちに活力を与える要素は様々ある。当コースは人事制度に関するコースだが、その立場からしても、「人事制度という要素の他にも、人に活力を与える要素は様々ある」と言うことができる。極端な話、人事制度がない組織であっても、それなりに人に活力がある組織は存在し得る。だから、人事制度は、あらゆる組織にとって必要な要素と断じることはできない。
しかし、いったん人事制度が必要な組織となれば、人事制度は重要な要素であり、その組み立て方・作り方・運営の仕方は、組織の盛衰に大きな影響を与える。
では、具体的にどのような制度が、人事制度と呼ぶに適するのか?
実は、それを一概に論じることはできない。なぜならば、組織には個々の特性がありそれに応じた制度が必要だからだ。つまり、組織を特定しない限り、具体的にどのような人事制度が適切であるのか、語ることはできない。
ところが、当コースは人事制度を具体的に述べるコースとして開講した。その冒頭に、「組織を特定しない限り人事制度を語ることができない」と断じただけでは、話が進まない。
そこで、当コースは、仮想ながらも或るていど具体的に組織の特性を絞り込み、いわば組織タイプを仮定する。そして、その仮定した組織タイプに適した人事制度を述べる形で話を進める。
つまり、当コースは、オールラウンドな人事制度論を述べるコースではなく、限られた組織タイプに的を絞った人事制度を述べるコースとなる。
そのため、当コースが仮定したものと異なるタイプの組織には参考とならない。時間の無駄とならぬよう、受講者は、まず当コースの対象となる組織タイプについて、よく理解して頂きたい。
では、当コースが対象とする組織タイプとは?・・・ それは次のような条件的要素をすべて持ちあわせている組織だ。
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1.事業形態
1)多種多様な業務を抱えている(単一業務専門の組織ではない)
2)多種多様な職務を組織内に必要とする
3)一部少数の職務が踏ん張るだけで組織を維持することは到底不可能である
4)24時間365日体制のシフト勤務、もしくはそれに近い事業運営体制が必要である
5)事業の核となる業務は直接雇用の人間でほとんど行い、
丸ごと(もしくはそれに近い形)で外注や請負業者に委託することや、他の事業主に任せてしまうことはない
6)事業に継続性がある(一時的事業ではない)
7)毎回異なる種類のプロジェクトを、次々と実施していくことが事業の本質というわけではない
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2.社員構成・人数規模・その他
1)いわゆる正社員がおおよそ100名を超え、かつ、
事業拡大に伴い増員していく予定がある人数規模。
もしくは増員していく予定はないものの数百名以上の単位の正社員規模である※2
3)異なる職務への人事異動があり得る
4)他職務との間で人事異動が不可能な職務で生涯同一職務の正社員が一部必要だとしても、
同じ人事制度の中で処遇したいと考えている
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以上、記述が大雑把であるものの、該当しない組織タイプはずいぶん明確になったと思う。いかがであろうか?
たとえば、民間企業では、商社、広告代理店、ゼネコン型建設会社、映画製作会社・供給会社、TV番組制作会社・CM映像制作会社等は該当しないだろう。フランチャイズチェーンの飲食業・小売業の本部会社、不動産業、ビル賃貸業、テナント施設管理会社、保険代理店、人材派遣会社も該当しないだろう。社員研修の企画をし講師を送り込むことを業とする会社や、コンサルティングファームも該当しない。会計監査法人や税理士法人も該当しないと思う。病院、大学も、組み立て方次第では該当しない。その他スペシャリスト集団の組織も該当しないだろう。
他にも該当しない組織タイプはあるだろうが、とりあえず今列挙したタイプの組織に所属する人は、この時点で、自らの組織に適用する知識を学ぶ受講者としては外れる。※3
では、逆に、どの会社や団体が上述の組織タイプに該当するのか? この段階で具体的に断定してしまうことによって、該当するにもかかわらず該当しないとの誤解が発生することを避けるため、それについては、さらに読み進める中、受講者ご自身にて判断頂くか、担当講師(私)へメールにて問い合わせ下さい。
なお、上記の条件を読みお気づきになったと思うが、当コースにおいて組織がいわゆる官なのか民なのかは関係がない。上記の条件が適用できさえすれば官民問わず適用できるはずである。


