当人事制度の全体像を構造的にフローとして見ると、右図のようになる。
当人事制度が人材育成を促進するとは言え、「本人の努力」が不可欠である。努力する気が根本的にない人間には、どれだけ良い環境を与えてみても、成果を出すことができないか、出したとしても僅かであろう。だから、当人事制度においては、右図のように「本人の努力」を、構造・フローの中心に据える。
しかし、たとえ努力する気がある人でも、出し抜けに「本人の努力」を要求されたら、何について努力していいものやら分からず、困ってしまうだろう。
そこで、まず「基礎能力開発基準(一覧)」および「作業項目一覧表」「チャレンジシート」を示し、その内容に基づいて本人に努力をしてもらう。
努力をしてもらうにあたり、それが孤軍奮闘となってしまってはチームワーク主義とは言えないし、組織の中で制度として運営する意味がない。だから、期中の「本人の努力」を支えるべく、「会社の教育支援」と「上司の日常指導」を行う。ともかく、放置しておかないことが肝要である。その意味では、いわゆるコーチンングを、いわば組織システム化する必要があり、右の構造図はそれを示したものとも言える。
本人が努力をすれば、それなりに成果が出る。基礎能力を発揮したことによって出た成果は、期末の「能力考課」にて考慮される。職務を遂行したことによって出た成果は、「実務考課(業績考課)」にて考慮される。※1
能力考課の結果は、昇級候補者案の策定に反映される。案が決裁されれば昇級候補者の昇級が確定し、昇級すれば能力給が上がる。
実務考課(業績考課)の結果は賞与に反映される。
また能力考課と実務考課の結果は、本人の職務適性を確認する際の参考情報ともなる。つまり、もし能力考課・実務考課とも連続して非常に低いようなことがあれば、当人が現在の職務に適していないか調査し、適していないとなれば職務を変更することを検討すべき・・・となる。※2
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ここで、報酬の主な構成要素を確認してみると、右図の一番下の段の、緑色の囲みの中の青字にて表示にあるように、
1.「給与ベース+年齢給」
2.「能力給」
3.「職務手当」
4.「賞与」
の4つの柱となる。※3
各要素については後でも改めて述べるが、とりあえず説明すると、まず「給与ベース」とは、ここでは、誰でも最低限もらえる共通額の月給のことを言う。※4
一般で使われる「ベア」(ベースアップ)で言うところの「ベース」と全く同じ意味だといいのだが、新聞記事等を観察していると、意味づけがバラついたり揺れたりしているように見えるので、似ているようだが、一応独自の概念とする。
「年齢給」は、幸い、一般で言われると同じ概念。年齢に応じて設定され、上昇を頭打ちにする年齢まで、毎年上昇していく月給要素とする。
この「給与ベース+年齢給」の額は、考課の結果に関係なく決定する年齢序列給※5としての報酬要素となるため、図においても、考課へとつながるフローから外れた位置に配置した。ただし、賞与算出の際の基礎額にはなり、その際には実務考課が関係する。
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「能力給」は、各人の能力に応じて支給される月給要素。すでに述べたように、昇級に伴い能力給が上がる。昇級には、能力考課の結果が反映される。どのような手順で反映されるのかは、スポットライトを当てて後述するが、その額はさておき、全員に適用される月給要素となる。
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「職務手当」は、特定の職務に就いている間、毎月支給される手当。全社員・全職員に対して支給されるわけではない。特定の職務とは、非常に危険な職務、高度な技術を要する職務、極めて重大な責任を背負うことになるような職務等々である。※6
なお、この「職務手当」が設けてあれば、パート1で述べた「他職務との間で人事異動が不可能な職務で生涯同一職務の正社員が一部必要だとしても、同じ人事制度の中で処遇したいと考えてる」という条件に応じることができるはずだ。
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「賞与」は、一般で言われる賞与と意味が同じである。ただし、分配・算出の方法は、一般において既に多様であるゆえ、当人事制度と一般のそれも異なることになろう。
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以上、右図を用いて当人事制度の構造を説明をしたが、しょせん図はイメージを伝えるもので、それに沿った説明も詳細に欠くものとなるので、上記要素についてはすべて、さらにパート3で個々に後述することとし、次のセクションへ進もう。


