【三】
砂糖は、いったん水分を捉えると容易に離さない特性により雑菌の繁殖を防ぎます。そのため食品の保存料としても役立ちます。
a
一六一六年 後金、民との全面戦争に入る。
b
あぎご、けえてくるはんで、アパのゆごとよぐきげへえやー。
(昭子、すぐ帰ってくるから、お母さんの言う事をよく聞くのだよ)
はーい、いてけへえやー
(はーい、行ってらっしゃい)
c
「今朝紹介されていた記念墓地の構想、興味深かったわね」
「あ? 4141チャネル、知ってるだけじゃなく、観てもいるの?」
「ええ」
「その放送、たしか六時ごろじゃなかったっけ? 出勤直前じゃん」
「そうよ。日勤でも夜勤でも、身支度する時は必ずつけているわ」
「へえーっ。そんなに政治に興味があるとは……」
「いいえ。そうじゃなく、首相の映像を見逃したくないから、つけっ放しにしてるだけ。ただ、記念墓地の件は、たまたま私の曾おじいちゃんが職業軍人だったので気になって……」
「そう。ということは、結構年配の下級将校。中国南部あたりに出向いて敗戦。戦犯として裁判に掛けられることすらなく……」
「えっ? なんでそこまで言うの? どうなってしまったかは、遺族だって分からないのに。ひどいわ!」
「あ、ごめん、ごめん。口が滑った。でも、あの番組が気になったということは、やっぱし戦犯問題も意識してるわけでしょ?」
「まあ、そうだけど……」
「従姉さんも、野党とその辺でモメているわけだからなあ」
「わたしには難しくてよく判らないけど、死んでしまった人まで区別しなくたっていいのに……」
死者は区別しない。曾祖父のこともあるからだろうが、それ以上に、白衣の天使ならではの優しい感情なのだろう。
だが、心情論はさておき、政治的意義においても、宗教抜きで新設する記念墓地としては対象者を限定しちゃならない。俺はそう思う。なにしろ今度の構想は、平和記念の墓地じゃない。戦争記念の墓地なのだ。
d
「ただいま!」
「お帰りなさい。いつも重たい物、すまんねえ……」
「なあーにをおっしゃいますかあー、和尚。このためにも来ているのだから、喜んでやらせて頂きますよ。それに、ここのところデスクワークが続いたので、足腰にいい刺激です。冷たい空気も、実に爽快です」
裏山とはいえ、たいした標高はない。数十年前からだらだらと続く宅地造成もあり、車道が到達してもいいほどだ。しかし、周辺住民の希望もあり、尾根づたいは自然のまま。
造成宅地からは電線が届く。水は、南斜面を下った大きな寺の好意で、そこにあるタンクからポンプでコトコトくみ上げている。が、ガスは届いていない。そのため、白道寺での暖は、まだ石油ストーブでとる。そこで、和尚を慕う人たちが入れ替わりでやってきては、背負子で灯油を運ぶ。もちろん、灯油に限ったわけではなく、米やら味噌やら様々な買い出しも行う。そして、何泊かしていく。
「ところで、和尚。Kさんは、到着したのですか?」
「さきほど着いたよ。今、散策に出ているところじゃ」
「超・特別捜査員だなんて、ほんとに凄い職務ですよね」
「あれま。田中さんは、Kさんと同宿したこと、まだなかったかね?」
「ええ」
「そう。今やあんたも古株だから、てっきり何度かKさんと寝泊まりしたかと思っていた」
「人づてに評判を聞いてますが、会うのは初めてです」
「それじゃ、今晩、ゆっくりとお話しなされ」
「ええ。楽しみにしてます。でも、職務の特性上、あんまり詳しく質問したら、まずいんですよね?」
「いいや。まったく気遣いは無用じゃよ。まずいような事態には、必ず急護員とやらが来て隔離してしまうからのう。つまり、隔離されていない限りは、どんな会話をしても問題ないということじゃ」
「そうですか。では遠慮なく……」
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東京都の世杉区。二一世紀も進んでのことだが、旧来「保健相談所」との名称にて運営されていた施設が一部、「コミュニティ健康相談センター」としてリニューアルされた。略称、「コミ健」。他の自治体では二〇世紀末からこの取り組みを始めていたが、遅れをとっていた当区も若手首長の誕生により、ようやく追いつくことになった。
が、いくら施設の名称や看板、建物の内装や設置機器など物理的な側面をリニューアルしても、肝心な業務内容がリニューアルされなければ意味はない。つまり、健康相談に関する人的対応が、地域住民の健康作りに直結してこそ、当センターの役割は達成される。
ベテラン保健師・高橋則子は、都内でも最大規模の団地内にあるコミ健の二代目所長として、本年一月、就任した。
或る現象は、この団地から発覚した。
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