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人道問題小説「お砂糖」  蒔苗昌彦


【二十六】

 砂糖の生産力がなかった時代、日本は、銀や銅などと引き替えに諸外国から入手しました。

 

 一九一八年 第一次大戦、終了。

       ベルサイユ条約にて、中国や南太平洋などにおける独の権益を、日、

       引き継ぐ。

 

 アパ、しんちゃ、どしたばして?

(お母さん、進ちゃんは?)

 アヤさ、むげにきて、いいどごさいったね。

(お父さんが迎えに来たの。そしてね、旅行へ行ったの)

 

 いつつ……。変だな。毎日のウォーキングで足腰の調子が良くなってきてたのに。急に腰が痛みやがる。いつつつ……

 

 Kとの交信不能状態が続き、慌しくなってしまった徹夜明けのモニター室内。研究員のSまでが技師のサポートにまわり、機器操作の作業や各所への連絡などを始めた。

 ザーザーガーガー……。

 鳴り放しの雑音の中、田中は、乱れたままのモニター映像と、技師とSの後姿を黙って眺めているしかなくなった。

 

「どう? 緊張は取れてきた?」

「ええ。かなりほぐれてきました」

「じゃ、スタッフの一員になってくれることは、間違いないようね」

「はい。ボラバイト契約書に捺印するための印鑑を持ってきてもらうことも、本人、了解していますし」

「で、西村さんは、また今日も同伴して下さるの?」

「はい。今後のコミ健活動、これを機会に、全員ペアを組ませた上、役割を振っていくことにしましたので」

「なるほど、そのペアの相手を西村さんとするのね。上手く考えたわ。さすが高橋さんね」

「いいえ。常務のアドバイスがあったからこそです」

「西村さんにはすでに打ち明けてあるだけに、きっと、今日にでも相談事を切り出すでのは?」

「ええ。私もそう思います。あっ、今、二人が。じゃ、これで!」

 財団の常務理事のほうから掛けてきてくれた電話を途中で切った高橋は、応接室へ向った。

<次章へ続く>

 
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小説中に登場する人物・団体・施設・出来事等は全て架空(フィクション)です。

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●制作・著作:蒔苗昌彦

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